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今さらだけど、アンジェニューを開放で撮ってみた。

僕が手に入れたアンジェニューはEXマウントなので(Lマウントが買えるカネがあればね!)、アダプター介してライカにつけても距離計は連動しないんだけど、被写界深度の目盛りみたら開放でも結構深かったんで、何とかなるかと思って。

カメラはレチナのI型しか持っていなかった時代、必死に目測の訓練をしたので、今でも目測は怖くない。これにはコツがある。っていうか、シビアにピントを合わせるという概念がまず無いし、悩んだり、考え込んだりすること自体がムダなので、思ったまま、感じたままでズバッと行けちゃう。ズバッと。もうヤケクソですよ。でもこれが気持ちいい。神経質で細かいことを気にしがちな人にこそオススメします、目測カメラ。

人生、ヤケクソで行きましょう。
Leica M3 + P. Angenieux 35mm F2.5 (KR64)



2004年の最後の朝は、こんな風だった。

始まりよりも、終わり方こそが僕には大事だから、写真に残しておいた。
PLAUBEL makina67 / Nikkor 80mm F2.8 (Tri-X)



自分の写真を「作品」と呼んだことなど、もちろん無い。

それは「作品」と呼ばれるレベルまで達していない、という謙遜も多少は含んでいるけれど、そういう意味じゃない。写真は写真。どこまで行ってもただの記録に過ぎない。だから僕は「作者」なんかじゃなくて、ただの「記録者」だ。

絵画や音楽が(実際には参考にすべき実在のモチーフがあったにせよ)「無から有」を作り上げる作業であるのに対して、写真は「有から有」でしかない。切り貼りして、あるいはデジタル技術を駆使して実在しないものを作り上げたとしても、それだって「無から」というわけじゃないだろう。

ただひとつ、僕の写真を「作品」たらしめているものがあるとすれば、それは写真の左端に見える、現像液が充分に回らなかったことから出来た黒いシミだ。偶然の産物とは言え、この部分は完全に僕の創作だし、そう見ると何となく「芸術」めいているようにも・・・
Leica M3 + P. Angenieux 35mm F2.5 (Tri-X)



長距離バスの中で、僕はずっと写真について考えていた。

写真は僕にとっては趣味の一つだ。趣味なんて、自分が興味を持って、好きで始めるもの。好きなことを、好きなようにやればいいし、興味が無くなったら、そこでやめればいい。簡単な話だし、誰にも大きな迷惑はかけないはずだ。趣味とはもともとそういうものだし、不自由であってはならない。

けれども、いつかどこかで、何かのふとした拍子に興味を失って、この「写真を撮る」という偉大な行為がそれっきりになってしまうことを想像するのは、怖い。

だから時々僕は、「自分にとっての写真」の、「いままで」と「これから」について考える。過去から未来に繋がる流れを整理して明らかにしながら、その流れの途中における自分の「立ち位置」のようなものを再確認しないといられなくなる時がある。
Leica IIIb + Jupiter12 35mm F2.8 (Tri-X)



どちらも雨宿りをしていて、片や座り込んで寝てしまい、片や写真を撮る。それだけの違い。
Leica M3 + P. Angenieux 35mm F2.5 (Tri-X)



分からないのなら、「わからない」と言うしかない。何度訊かれようとも、「わからない」と鸚鵡のように繰り返すしかない。

「わからなくもない」なんて、軽々しく言っちゃだめだ。

言ったが最後、そこから、黒くてどろどろしたものが沁み込んでくる。そこから刺される。
Leica M3 + P. Angenieux 35mm F2.5 (Tri-X)



埼玉県の北西部、正丸峠を越えて、秩父駅も超えて、もうすぐで群馬との県境、というあたりに小鹿野(おがの)という小さな町がある。どうしてこんなところに町が?と誰もが思うような、恐ろしく山奥の、恐ろしく小さな、だけど必要最低限のものはすべて揃った、ミニチュアのような町だ。

年に何度か、ここに来る。もう12、3年になるか。別に用など無い。ただ何となくこの町が好きで、時々、無性に訪れたくなるだけ。

これはその小鹿野にある、カツ丼屋の店内。

いや、正確には肉屋らしいのだが、いずれにせよ看板が出ているわけではないし、店先に肉の入ったショーケースがあるわけでもないので、まあ何屋でも構わないだろう。とにかく1日のうちのごく短い時間だけ、カツ丼を食わせてくれる。これが絶品。

ここのカツ丼は、アツアツご飯の上にカツが乗っかって、そこにソースがかかっているだけ。玉子でとじてないし、タマネギもグリーンピースも入ってない。ただそれだけ。カツは、一枚でどんぶりのご飯が完全に隠れてしまうほど大きいのだが、それが二枚入っている。つまり、「山田くぅん、座布団二枚!」の状態である。だから、カツとご飯を同時に味わおうと思ったら、予め一枚は逆さに置いたどんぶりの蓋に除けておく、という芸当が要求される。

もともと観光客が押し寄せるような町ではないので、この店にも「なーんとなく」という感じで近所の人が集まってくる。

この「なーんとなく」な間合いが、この町の魅力なんだと、今ふと思った。
PLAUBEL makina67 / Nikkor 80mm F2.8 (Tri-X)



再び小鹿野のこと。

高速道路が事故で通行止めになったおかげで、真夜中にたまたま通りかかり、その「たたずまい」のようなものにすっかり心奪われたことが、この町にせっせと通うようになったきっかけと言えばきっかけだ。とは言っても、何か特別な、誰にでも分かる特徴のようなものがこの町にあるわけじゃない。それはもう、「この町と自分の、遥か昔から仕組まれていた因縁」としか説明のしようがないものだ。

だから、身近な人が実は小鹿野の出身だと知って、ビックリしたことが過去に一度だけある。

それは仕事の関係で知り合った、別の会社の女性だった。もう何年にもわたって共同で仕事をしてきて、それがある日、ひょんなことから出身が小鹿野だと分かったのだ。

僕は相手が小鹿野の出身であることに驚き、相手は「小鹿野を知っている人がいる」ということに驚いていた。

次から次へと試飲のグラスが出てきて、べろべろにさせられた小さなワイナリーの話をしたら、それは幼馴染みの家だと言って笑った。「小さな町だから、人口の半分ぐらいは何らかの知り合いなのよ」と。

僕より少し年上で、仕事にはとても厳しく、誰彼構わず他人のことを「あなたねえ」と呼ぶようなキツイ人だったけれど、仕事を一歩離れて話してみると、どことなく牧歌的な匂いすらする優しい人だった。「小鹿野出身」と聞いて、少なくとも僕は頷けた。

その後、僕は会社を変わり、彼女と一緒に仕事をすることも無くなった。一度だけ、同僚から仕事の相談を受けて彼女を紹介したことがある。同僚は彼女と何らかのビジネスの話をした筈だが、僕は話していない。それすら、もうずいぶん前の話だ。元気でいるだろうか。
PLAUBEL makina67 / Nikkor 80mm F2.8 (Tri-X)



「君の考えには断固として反対するけれど、君が自分の意見を言う権利は、私が命を賭けて守ってみせる」って誰の言葉だっけ?

あなたにはあなたの考え方がある。僕には僕の考え方がある。そして、それらは相容れない。

お互い、考えを曲げてまで歩み寄る必要なんてどこにもない。ただ、「相容れない」という事実を認識するだけでいい。それでいくつかの問題が解決するし、そもそもそれしか解決方法がない問題ばかりだ。

「どうして分かってくれないのか」なんて、悩むだけ無駄というものだ。そんなの分かりきったことじゃないか。それは僕があなたではなく、あなたが僕ではないからだ。
Leica M3 + P. Angenieux 35mm F2.5 (Tri-X)



地図の上を海岸線に沿って指を走らせていたら、ふと目に留まる地名があった。

雨崎。

雨の岬。The Cape Rain

一人であてども無く歩くには、ちょうどいい名前だ。本当に雨が降ってくれればいいのに、とも思ったが、予報によれば雨が降る確率は低かった。

調べてみて分かったのだが、驚いたことに、この浜に大戦中の戦車が一両、埋まったままになっているらしい。

60年もの間、砂の中で身じろぎ一つせず、自分が朽ち果てるのをじっと待つ戦車。砂から突き出た砲身に、一輪の平和の花が挿してあるのか、ないのか、それを確かめたい気もしたが、戦車探しはやめておいた。僕が掘り返すべきものは、他にたくさんある。
Leica M3 + Summicron 5cm F2 (Tri-X)


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