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数日、常陸の国の海岸線を、ローライコードを持って彷徨ってきます。
Rolleicord Ia / Triotar 75mm F4.5 (100TMX)



2006年4月5日、早朝。

千葉の東海岸にたどり着いた僕が真っ先にやったのは、途中のコンビニで買ってきた歯磨きセットとミネラルウォーターで歯を磨くことだった。

波の高い九十九里の浜辺を歩きながら、僕は歯を磨き、口をゆすいで、汚れた水を勢いよく吐き出した。

この瞬間が、実質的に旅の始まりだったと言ってよい。
Rolleicord Ia / Triotar 75mm F4.5 (ACROS)



2006年4月5日 午前6時20分

ナビが示している現在地は、九十九里の南の端だった。

アクアラインで木更津に上陸して、そのままほぼ真東に房総半島を横断したことになる。ここから海岸線に沿って北上を続け、銚子、鹿島を経由して、水戸まで行く。

水戸なんて、高速道路を使えば都内から2時間かそこらだろう。それなのにどうしてわざわざこんなルートを選んだのか、ひとことで言えば、急ぐ理由は何も無いからだ。

日付が変わった頃、東京湾のど真ん中で少しだけ仮眠をとった。この先も、眠くなったらクルマを停めて眠りたいだけ眠ればいい。もともとそういう旅だ。

その一方で、ホテルにチェックインする前に水戸の町を少し散策したいとも思っていた。遅い昼食を水戸でとることになるだろうし、夕食をどこで食べるか、アタリをつけておきたかった。

チェックインしたら、まずは熱いシャワーを浴びよう。そして、夕食に出る前に、しばし深い眠りに堕ちよう。

運転しながら、僕はふかふかのベッドと、真っ白い清潔な枕のことばかり考えていた。
Rolleicord Ia / Triotar 75mm F4.5 (ACROS)



2006年4月5日 午前10時00分

銚子を過ぎたあたりから、雨が激しくなってきた。NHK第一放送がワイパーの音でかき消される。

アナウンサーが話題の新刊を紹介していた。次の信号で停まったら本の名前をメモしようと思っていたのに、すっかり忘れてしまった。
Rolleicord Ia / Triotar 75mm F4.5 (ACROS)



2006年4月5日 午後2時13分

土砂降りの中、ようやく水戸に到着。出発から15時間。

あまりにも雨が酷いので、市内散策は諦めて、ホテルと同じブロックにあるファミレスで昼飯。若い子でも結構訛りがキツくて、僕はウェイトレスの女の子が言ったことを、2回も聞き返してしまった。

ホリデイ・インにチェックインして、すぐに熱いシャワーを浴びる。今なら泥のように眠れるはずだ。ベッドにもぐりこむ前に一枚。
Rolleicord Ia / Triotar 75mm F4.5 (ACROS)



2006年4月6日 午前8時35分

水戸二日目は、昨日と打って変わって雲ひとつ無い快晴。

JR水戸駅のすぐ南側を、その名も「桜川」という小さな川が流れていて、その川岸はこんな感じ。東京ではすでにピークを過ぎていて、緑色の若葉がちらほら混じり始めるぐらいだったから、昨日の15時間の北上で、逃げる桜前線に再び追いついたというわけだ。

毎年この時期になると、日本の国土がいかに桜だらけであるかがよく分かる。

これから鹿島臨海鉄道に乗って、鹿島灘へ。降りる駅は決めてない。雰囲気と駅名で決めよう。
Rolleicord Ia / Triotar 75mm F4.5 (ACROS)



2006年4月6日 午前10時45分

水戸駅で列車の到着を待っている時から、来るのがディーゼルカーだということは分かっていた。見慣れた架線が頭上に無いからだ。床下のディーゼルエンジンが喘ぎ、オイルの燃える匂いがする。

普段から見慣れた艦載機とは明らかに違う機影が、何度も頭上を通り過ぎる。百里のF-15だ。飛んでいるF-15を見るのは初めてかも知れない。神々しい。

「荒野台(こうやだい)」という駅名がある。地図を見ると、そのあたりの地名が「荒野」というらしい。荒野と言えばガンマンですよ。シビレるなあ。相当ヘナチョコではあるけれど、二連銃を持ったガンマンと言えなくも無い僕は、この駅で降りることにした。

その名にふさわしく、駅前には改札、ロータリー、パーキング、商店、自販機、一切ナシ。海がある筈の方向へ、ただひたすら歩いていく。

一瞬、潮の香りがしたかと思うと、唐突に鹿島灘が姿を現した。波の重低音が腹に響く。神奈川あたりの飼い馴らされた波とはワケが違う。
Rolleicord Ia / Triotar 75mm F4.5 (ACROS)



2006年4月6日 午前10時55分

このまま何時間でも海を眺めていたい衝動にかられた。おそらくそうなることは分かっていたから、たっぷりと時間をとって、たった一人で海辺にやってきた。

「一人」という単位はとても重要。一人じゃ出来ないけれど、二人だと出来ることはいっぱいあるけれど、逆に、一人じゃないと出来ないことだってある。「写真を撮ること」とかね。少なくとも僕はそうだ。
Rolleicord Ia / Triotar 75mm F4.5 (ACROS)



2006年4月6日 午前11時45分

正方形だからタテもヨコも無い、ただいちばん写したいものを真ん中にもってきてシャッターを切る。姑息な変化球は無しだぜ。直球で勝負しよう。

この旅に出る前、ネット上の友人が「日の丸構図上等」と言っていた。

僕はこの言葉が妙に気に入って、ファインダーを覗くたびに呟いていたような気がする。
Rolleicord Ia / Triotar 75mm F4.5 (ACROS)



2006年4月6日 午後1時30分

この日は鹿島灘の海岸を南から北に向けて、合計で7〜8km歩いたのだけど、その間に見かけた人間はわずかに6人だった。全員老人。老人と海。この老人もかつては海の男だったのだろうか。

さすがに腹が減ってきて、浜から数百メートル山側を走る国道まで戻った。右も左も、見渡す限り店のようなものは見えない。あてずっぽうで右へ歩いていく。500mほど行くとガソリンスタンドがあったので、ここらへんで食事ができるとこは無いか?と聞いたら、1kmほど南に行ったところに蕎麦屋があるだけという。

南というのは来た方角に戻るということだ。勘は見事に外れた。
Rolleicord Ia / Triotar 75mm F4.5 (ACROS)


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