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大晦日の晩、僕は息子と手をつないで、暗い道を歩いていた。

不意に息子が訊いた。

「ねぇパパ。パパはもう大きいけど、もっと大きくなったら何になりたい?」

それを聞いて、僕は死ぬほど驚いた。もちろん、彼にとってはふと頭に思い浮かんだだけの、他愛も無い質問だった筈だ。消防士とか、野球選手とか、そんな答えをしておけば、きっと彼は満足したのだと思う。しかし、この質問は効いた。みぞおちあたりに見事に決まって、一瞬、息が出来なくなった。

もっと大きくなったら何になりたいんだ?俺は。

ふと気づいたら、人生の折り返し地点まで来ていた。この先、自分はどうありたいのか?どうありたかったのか?幼い頃の自分がなりたかった大人に、今、なっているか?なろうとしているか?そして、それはどんな大人だったのか?

うまく質問に答えられない僕の心情を察してくれた訳ではないだろうが、この話はそれきりになった。

近い将来、息子とこの話の続きをしよう。必ず。
Leica M5 + Summar 5cm F2 (Fomapan100)



写真には絶対に写らないものを、写真に撮っていきたい。

2008
Leica M5 + Summilux 35mm F1.4 (TMY)



横浜市営地下鉄の桜木町駅でリーゼント小学生に出会った。「どしたのソレ?いや、でもカッコイイよぉ」と褒めてあげたら、「いやー、忘年会でもらったんですよぉ」だって。小学生が忘年会をやるんだあ、と違うところで驚いた。
Leica M5 + Summilux 35mm F1.4 (TMY)



実に気持ちよさそうにラッケンロウしていたので(とは言え、誰かに聴いてもらうつもりなんてさらさら無いのは明白だった。それほどいい加減な歌だった。実際、足を止めて聴いている人間なんて一人もいなかったし)、「写真を撮らせてよ」と言ったら、無言でサントリー角のポケット瓶を差し出された。

僕が一口含んで飲み下すと、「おお、ブラザー!よし、写真撮っていいぞ」と言ってきつく抱き締められた。で、こうして写真撮らせてくれたのはいいんだけど、この後2時間もここで酒飲むのに付き合わされたりして、でもまあ、こういう展開は嫌いじゃない。
PLAUBEL makina67 / Nikkor 80mm F2.8 (TX)



何かに熱中するということ。上手くなりたいとか、褒めてもらいたいとか、将来に役立てるとか、そういうのも一方ではあるかも知れないけれど、そういうのとはまったく別の次元で何かにうちこむこと。一切の見返りを期待せずに、ただ自分がそれをし続けるということに対して、あらゆる努力をすること。どんな犠牲も厭わないこと。

そういう覚悟で何かをやっているヤツは、いい顔をしている。
PLAUBEL makina67 / Nikkor 80mm F2.8 (TX)



人はみな、法則を探している。知らずのうちに探している。法則さえ見つかれば、何かが上手く行くと思っている。何かが上手く行かないのは、法則を見つけられないからだと思っている。

本当のところを僕は知らない。でもその通りのはずだ。法則とはそもそもそういうものだ。法則さえ見つかれば、上手く行くのだ。

でも見つからない。絶対に見つからない。見つかるはずがない。

しかしうすうす勘づいている。その法則は、実はびっくりするほど単純なことなんじゃないかと。一般論と嘘の間の狭い隙間に、それはあるんじゃないかと。

残念ながら凡人に分かるのはそこまで。
Leica IIIb + Summar 5cm F2 (TX)



良かったことが2つ。

良くなかったことが1つ。

そして・・・良いか悪いかは、それが何時の自分にとってなのかによって180度変わることが1つ。
Zenza BRONICA S2 + Nikkor 50mm F3.5 (TX)



かなり長い間、立ち止まって聴いていた。腕を組みながら聴いていた。悲しい音色だった。男たちはみな戦いに行って、そしてだれも戻ってこなかった。そんな歌詞を勝手につけて、しばらく聴いていた。
Zenza BRONICA S2 + Nikkor 75mm F2.8 (TX)



長女は今、小学校5年生だ。

自分が小学校5年生の時、毎日をどんなふうに生活していたか、かなり細かいところまで思い出すことが出来る。そんなことをしても意味はないと知りつつ、自ずと色々なことを比較してしまう。

まだそういう時代だったのか、あるいは地域性なのか、今思い返してみると、みな圧倒的に貧しかった。しょっちゅう転校生が来た。そしてすぐに、先生曰く「家の事情で」転出して行った。

そうやって最後の挨拶があるのはまだマシな方で、ある日突然、家族ごと居なくなってしまう奴もいた。古ぼけたアパートの鉄製の階段の下には、まだそいつの自転車が置いてあるというのに、もうここには住んでいないということがうまく理解できなかった。

雪が降った翌日、久しぶりに自分が生まれ育った町を歩いてみた。子供たちは何も変わっていないように見える。僕たち子供は、何も心配しないで済んだ。毎日が、あきれるほど充実していた。しかし大人たちは大変だったのだろう。色んな事情を理解できる今、あの頃の思い出は煤けて薄汚れて見える。
Leica M5 + Summilux 35mm F1.4 (TMY)



いろんなことが慌しく動いているのに、自分だけがその流れに乗れていない感覚。乗りたいのに乗れないのか、乗ることを諦めているのか、そんなことこっちから願い下げなのか、それすらまったく分からない。まったく、だ。

椅子の周りをぐるぐる回って、笛と同時にそれに座ろうとする。そう、みんなと同じように。本当は椅子の取り合いなんて別にしたくないんだけど、それがこの遊びのルールだから。

そして、自分の座る椅子が無いことを悟った時の気恥ずかしさ、気まずさ。とっとと帰ればいいのか、それともオーバーアクションで悔しさを表現した方がいいのか。そこにある「はず」の椅子に座って派手に尻もちをつけば、周りも自分も満足なのか。いったい、僕はどんな顔をしてそこにいりゃいいんだい?
Zenza BRONICA S2 + Nikkor 75mm F2.8 (TX)


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