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Zenza BRONICA S2 + Nikkor 50mm F3.5 (TX)


三浦半島の一番先まで、ちょっと行ってこようと思う。

目的は、写真のデリバリーと、お礼と、若干の謝罪。

天気予報は、もう何日も前からその日が雨であることを自信満々に告げていて、用事を済ませるだけではもったいない気持ちになってきた。

真夜中に家を出て、まだ暗いうちに、いつもの砂浜に車を停めよう。少しずつ夜が明けていく様を、濡れたフロントガラスごしに眺めるのは、きっと素敵な時間に違いない。そして雨の中で写真を撮る。黒い雲が低く垂れ込める空を。冬の最後の海を。これ以上無いほどに人寂しい雨の景色を。

肝心の、写真を手渡す相手に出会えるかどうかは、かなり未知数だ。ああいう自由人が経営している店では、いつが定休日で、いつが営業日かなんて、そんなことは大した問題ではないのだ。いちおう土曜日は営業していることになっているが、この季節の、しかも雨降りじゃあ、店が開いている可能性は低いだろう。でも行かなきゃ会えないから、とりあえず行ってみる。

なに?事前に電話でもして聞けばいいじゃないかって?

そうしたい人間は、そうすればいい。

失望は効率の中にこそあり、喜びは無駄足の中にこそあるんだぜ。




Leica M5 + Elmar 3.5cm F3.5 (TX)


理屈と迷いと乱暴

いま、43歳。

この歳になってつくづく楽しいと思うのは、上にも下にも、歳の離れた友達が沢山できることだ。もちろん、その殆どは写真が繋げてくれたもの。

「還暦をとうに過ぎ」とおっしゃる、とある人生の大先輩からメールをいただいた。そこにはこんな一節があった。

のびさんはまだ43歳。まぶしい限りです。何をやろうが、やり直そうが、まだ持ち時間はたっぷり。今のうちに理屈と迷いと乱暴をきっちりおやりになって、美しく迷いなき還暦をお迎えください。


僕はこの部分を何度も読み返した。

理屈と迷いと乱暴。

この方は、昨年の秋にエルマー3.5cmを僕から買ってくれた方で、それが縁でお知り合いになった。2月には曙橋で念願の初対面も果たした。作られてから80年近く、その間どこでどうしてたんだか知らんけど、あのエルマーには感謝しなくちゃなんないな。

はい。

きっちりやらせていただきます。

まだまだ冷えて固まったりするもんですか。




Nikon F2 + Nikkor 28mm F3.5 (TX)


冬が終わってしまうのは寂しい。
夏の間、僕はろくすっぽ写真が撮れないから。

燦燦と輝く太陽よりも、
身を切るような北風や冷たい雨の方が、
僕にはありがたい。




Nikon F2 + Nikkor 28mm F3.5 (TX)


この森に分け入ったのは、自分の意思だった筈だ。

あの時、森の中に分かりやすい地図を期待したか。信頼できる案内人を期待したか。近道を期待したか。森の中が常に安全で快適であることを期待したか。経済的で効率的であることを期待したか。楽できることを期待したか。すべてがすんなり行くことを期待したか。

答えなんて教えてもらいたくないし、ヒントすら要らない。ぜんぶ自分で探すよ。最初からそのつもりだったのだから。




Nikon F2 + Nikkor 28mm F3.5 (TX)


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Nikon F2 + Nikkor 28mm F3.5 (TX)


雨の海で写真を撮っている間、頭の中でずっとBobo Stensonのピアノが流れていた。彼のリーダーアルバムに、こんな景色のジャケットがあるからだ。彼は耽美派と呼ばれるジャズ・ピアニストで、僕は大好きだ。

そのStensonもきっかけはそうだったけど、ECMというレーベルのジャケ買いをひたすら繰り返している。音楽なんてどうでもいいと思っているわけではない。そこは常に高い水準を維持しているECMだから、何の心配もないということ。実際には好き嫌いがあろうが、それは好きになればいいだけのことだ。

そのジャケ買いしたCDを並べて、ジャケットの写真を撮った写真家の名前を片っ端から調べてみたら、(考えてみれば、これは実に当然の結果なのだけど)ある数人の写真家に集約された。その中でも数が一番多く、僕が最高に気に入っているジャケットを撮った写真家がAra Gulerという名前だと分かったので、さっそく写真集を探した。その名も"Istanbul"。彼はイスタンブール生まれのトルコ人だ。

中身については、★5つとだけ言っておこう。それをここで説明するのは疲れるし、無意味だ。もし興味があるなら、買ってみればすべて分かる。




Nikon F2 + Nikkor 28mm F3.5 (TX)


車はかなり離れたところに停めるしかなく、片手に傘、もう一方の手に大きな額を抱えて、土砂降りの中を浜まで降りて行った。ハンドキャリーとは言え、エアパッキンでぐるぐる巻きにしてきたのは正解だった。

ドアノブに手をかけようとした途端、扉が内側から開いて、「こんな天気なのに連絡もせずに来て、もしやってなかったらどうするつもりだったの?」と言われたので、思わず大笑いしてしまった。相手はきょとんとしていたけれどね。

最初、店の外観がすっかり変わっていてびっくりした。聞けば、秋の台風で、海に面した大きなバルコニーが丸ごと流されたんだそうだ。

そしてバルコニーと一緒に店の外壁も一枚剥がされて、長いこと塞がれていたこの大きな窓が「出土」した。

「へぇ、この方がいいじゃないですか」と言うと、「みんなそう言ってくれるよ」と主人。

さて、雨の海を眺めながら飲むコーヒーがそろそろ運ばれてくる頃だ。




Nikon F2 + Nikkor 28mm F3.5 (TX)


お近くの方は是非行ってみてください。神奈川県三浦市、油壺マリンパーク近くの荒井浜という海です。

屋号を「海の美術館」といいますが、看板なんて出てたかどうか。

これだけの説明で辿り着けたら大したもの。いや、これは意地悪じゃなくて、これ以上、説明のしようがないのよ。行ってみりゃ分かると思うけど。

ひとことだけ言っておくと、「ちょっと、この道、間違ってるんじゃない?」と思っても、たぶんそれは合ってます。

一番のお勧めは、よく晴れた日に、日没に合わせて行くこと。あの瞬間はお喋りが止まります。




Leica M6 + Summilux 50mm F1.4 (TX)


ただでさえバタバタする年度末だが、今年はそこに自分の人事異動も加わって混乱と疲弊の極み。おまけにPCが吹っ飛んでイチからやり直しときた。アタマにきて思わずMacを注文。十数年前に仕事で使っていたけれど、あれはまだ「漢字Talk」の時代だったから、昔取った杵柄というわけにも行かず。っていうか脳みその動きが渋くなっていて四苦八苦。




Nikon F2 + Nikkor 28mm F3.5 (TX)






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